黒は僕にとって特別な色だ。
その始まりを思い返すと、やはり10代の頃に出会ったコムデギャルソンの存在が大きい。
80年代に世界を席巻した、日本発の黒の旋風は衝撃的だった。そこから今まで僕のワードローブの大半は黒を基調にしている。
当時NEW WAVE / POST PUNKに強く影響を受けていた僕は、ファッションや音楽、映画や小説、
あらゆる文化的な側面をこの言葉で切り取っていた。
果ては「あの人はNEW WAVEだ」などという使い方までし始めていた。
現在でもコムデギャルソン、特にレディースの販売員を見かけると、当時の光景が鮮やかに甦る。
病的なまでの黒装束、ショートボブや刈り上げの髪型でノーメイクで街を歩く姿や、
逆に過激なメイクと黒を組み合わせて闊歩する姿。
それは単なるファッションではなく、時代の態度であり、そして僕にとって音楽そのものの気配だった。
NEW WAVEの鋭く冷たい響きとあの黒の佇まいは、今も僕の記憶の中で切り離すことができない。
NEW WAVEがただ音楽のジャンルではないのと同じく、黒は僕にとって、ただ身にまとう色ではなく、
自分の立ち位置を示す色なのだと思う。
というわけで第一回目はNEW WAVEと黒を重ねてみた。
その時代リアルに聴いていた音をプレイリストにまとめたので、聞いてみてほしい。
大沢伸一 (おおさわ しんいち)
MONDO GROSSO、RHYME SO、DONGROSSO、「音楽的多重人格」を自負する音楽家。音楽を中心に活動は多岐にわたる。最新ニュースはオフィシャルインスタグラムにて。
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