佐藤直樹─意識を超えて、描き継がれる黒
木炭によって描き継がれる植物たち。2012年にふと始まった佐藤直樹による取り組みは、2025年時点で総延長340〜350m程となり、いまなお続く現在においては、壮大なドキュメンタリーと化している。10年以上の歳月を振り返りつつ、佐藤直樹という人間と、傍に在り続ける黒の関係性を、飾らない言葉から掘り下げる。
ヒト、コト、モノ。
感じる、学ぶ、黒の記録木炭によって描き継がれる植物たち。2012年にふと始まった佐藤直樹による取り組みは、2025年時点で総延長340〜350m程となり、いまなお続く現在においては、壮大なドキュメンタリーと化している。10年以上の歳月を振り返りつつ、佐藤直樹という人間と、傍に在り続ける黒の関係性を、飾らない言葉から掘り下げる。
たとえば光と影のグラデーションを認識しようと目でなぞろうとすると、私たちは言葉や記号では表し尽くせない曖昧な領域に出会う。自然物や時間の堆積と交信するようにして生み出されるかたちを空間や物質に刻む鈴木ヒラクの表現を通じて、言葉ではとらえきれないものを、線と行為で追い続ける試みの深層に触れてみたい。
現代美術家・寒川裕人は、絵画や彫刻、インスタレーションなど、多様な表現のなかにある「黒」を起点に、影や色彩、知覚の周辺に起こる揺らぎ、そして奥行きに触れる。寒川の作品とその背景にある思想を通して、私たちは「黒」を、世界をどのようにとらえ得るのだろうか。
彫刻家・名和晃平は、多様な表現を横断しながら、観る者に「生命とは、存在とは何か」という普遍的な問いを投げかけ続ける。静かに、真っ直ぐに語られる言葉を通して「黒」が名和にとっていかなる意味を持ち、どのように作品に投影されてきたのかを記録する。