さまざまなジャンルのクリエイターが愛用する、黒い愛用品。定番品として今も買うことのできるものから、今ではもう手に入らないレアグッズまでご紹介いただきながら、黒のバトンを繋いでいく連載です。
1. Circle Denali jacket/MM6・THE NORTH FACE
2020年AWに発売されたMM6とTHE NORTH FACEのコラボベスト。綺麗な円形になっている珍しい形。ベースにはノースフェイスの名作「デナリ」が起用されながら、MM6とのコラボによってサークル型に。フリース素材がふんだんに用いられ暖かく、機能性が◎。アームホールがダブルジップになっていて、どんなに厚着をしていても上からレイヤードが可能。とりあえずこれを着れば暖かいし、おしゃれになるという優れもの。
円形なのでシルエットが珍しく、どんなコーディネートにもひとクセつけてくれます。コロナでなかなか思うように過ごせなかった幻の時期に発売されたこちらのシリーズですが、本来別の商品を買おうとしており、そちらが売り切れでやむを得ずこちらをチョイス。気に入らなかったらどうしようと不安でしたが、実際に着てみてその暖かさとシルエットの奇抜さに惚れ込み、秋口から冬の終わりのシーズンは週4くらいで上着やレイヤードのアクセントとして着用しています。たぶんよく会う友達には「また着てる」って思われています。笑
仕事上、黒い服を着ることが多くポケットにものを入れることも多々あるので、そういう意味でもこのベストはお気に入りです。今回この企画で真っ先に思いついたのがこのベスト。いつ買ったんだっけな〜と振り返ってみたらもう4年も経っていて、いい服は色褪せず、どんな時代にもマッチして、知らずのうちに長く着ているものなんだな〜と思いました。
2. ブライダルリング/ISIR
結婚指輪っぽくない指輪がいいというのは、自分が結婚を考える遥か昔からずっと思っていたこと。
よくあるシンプルで生活の邪魔にならないリングもいいけど、もっとテンションの上がるアクセサリーとしての指輪を求めていました。横から見ると、倒したDのような形になっていて、石はオニキス。後から色々調べて、オニキスは「迷いのない信念」を象徴する石だそうで。まさにブライダルリングにピッタリだなと思いました。
デザイン・製作をしてくださったISIRさんとの出会いは2021年。服好きの後輩から教えてもらったブランドで、2021年に伊勢丹でポップアップをしていたところに見に行ったことがきっかけでした。お話してみるとデザイナーの松岡さんとは同い年。大人になるとなかなか同い年に会う機会が少ないのでシンパシーを感じました。実はプロポーズの際のネックレスもISIRさんにお願いして作っていただいたので、結婚指輪も絶対ISIRさんがいいと思っていたんです。出会った当時はポップアップだったISIRさんも、今ではショールームも持たれ、どんどん大きなブランドに。共に時代をあゆみ、共に成長してきたと勝手に思っています。素敵な二人が作り出す、美しすぎる世界観とジュエリーたちが本当に大好きです。
3. 満月皿/山田睦美
珠洲焼をつくる山田睦美さんの作品。満月をイメージして作られたお皿です。
同じお皿でも一つひとつご自身の手でテクスチャーをつけているため、一つとして同じ模様のお皿がない唯一無二のもの。珠洲焼自体は古くから存在していた焼物ではあるものの、一度歴史が途絶え、約50年ほど前に復活した珍しい焼物だそう。
黒特有の重たさや存在感を特徴的なテクスチャーが緩和してくれるので、どんなシーンでも使いやすいお皿です。ケーキを乗せてもよし、ちょっとしたおつまみを乗せてもよし、和菓子を乗せてもよし、ただ飾って眺めるのもよし。黄色く光っているイメージの月が、黒いお皿で表現されているのに、誰しも月のようだと感じられるのは、すごく不思議な感覚です。光り輝いている部分ではなく、陰影に目を向けた睦美さんらしい作品です。
初めて睦美さんを訪ねたのは、2020年7月。移住した友人のもとへ遊びに行くことになり、珠洲のモノづくりについて調べていくなかで睦美さんの存在を知り、インスタでご連絡しました。睦美さんは穏やかで凛としていながらも、人間らしさをとても感じる、海のような素敵な方です。お会いしてからコロナや震災など様々なことが起こりましたが、今でも定期的にお会いさせていただいている仲の良い職人さんのうちの一人です。