さまざまなジャンルのクリエイターが愛用する、黒い愛用品。定番品として今も買うことのできるものから、今ではもう手に入らないレアグッズまでご紹介いただきながら、黒のバトンを繋いでいく連載です。
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1. 大沼ショージさんの写真
写真は光と影をとらえる仕事だと、彼女の仕事に触れるとそう思います。
モノクロームはまさに。
私の著書の写真をお願いし、撮影も終盤のころに撮って下さった一枚です。「雨の言葉」というページの扉の写真なのですが、実は本当の雨ではなくて、琥珀糖を作る過程の液体の水滴を雨に見立てました。撮っている瞬間に隣にいたことが奇跡のような時間でした。光と影が雨をとらえていました。写真を観ると、あの日の時間を思い出せます。
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2. 菊池克さんの菩薩手
黒光りした菩薩手は「千手観音菩薩の菩薩手を1000手、作る」という菊池克さんの挑戦。この菩薩手は46番の番号がついています。
手というものに惹かれます。千手あると、本当に様々な手の表情、仕草があって、解釈もその時の自分が観ているものを受け取るのでしょうね。手のひらに見えるのは、山東京伝の「め鯨」ですよね。克さんのウィットがきいていて「目くじら立てないようにしないと」って、この手を見ると思います。千手まで見届けたいです。
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3. 孫宝坤(Baokun Sun)さんの黒釉茶壺
雲南省で作陶されている孫宝坤さんの茶壺です。
黒の釉薬がかかった中国茶の茶器は珍しく、一目惚れしました。
私が主宰する茶菓の会で使ったり、ゆっくりと過ごしたい時に、烏龍茶を淹れて飲んでいます。手のひらに乗るほど小さな茶壺です。夜、部屋を暗くして使うと、茶壺が闇に消え、道具の存在がなくなって、茶と向き合うことができて、新鮮な感覚でした。黒の効用ですね。