黒と低音
大沢伸一
大沢伸一 研究員

「わたしとくろと音楽」

研究員の大沢伸一さんが、自身の「黒」にまつわる思い出や、
「黒い」テーマに沿って、プレイリストを選曲。音楽でテーマを深めていくコラム。

黒と低音

実は、「黒い音」という言い方は僕にはあまりピンとこない。
なぜなら、“ブラックミュージック” という言葉がどうしても先に立ってしまうからだ。そこでは黒は音色の話ではなく、歴史や文化的背景を指している。

音に色はあるのだろうか。
低音が重いから黒なのか。
歪んでいるから黒なのか。
けれどそれは、あまりにも単純すぎる。

黒と低音が強く結びついて感じられるのは、
その存在の仕方が似ているからかもしれない。

低音は前に出ないように見える。
だが、空間を支配する。
抜ければ全体が崩れる。
(余談だが、日常生活の多くの公共空間では、低音が十分に再生されているとは言いがたい。)

黒は、実のところ強い。
クラブミュージックにおける低音のように、
構造でありながら、実は主役であることが多い。

ここまで書いてきて、黒と低音はかなり似ているのではないかと思い始めている。
音や色そのものではなく、構造的な立ち位置や役割という点で、かなり近い。

黒は色というより姿勢だ。
低音もまた、音色というより構造に近い。

というわけで、今回は音で黒を探ってみた。
構造で切り取るととても実験的、音響的に偏るので
黒を感じる曲を集めてみた。