実は、「黒い音」という言い方は僕にはあまりピンとこない。
なぜなら、“ブラックミュージック” という言葉がどうしても先に立ってしまうからだ。そこでは黒は音色の話ではなく、歴史や文化的背景を指している。
音に色はあるのだろうか。
低音が重いから黒なのか。
歪んでいるから黒なのか。
けれどそれは、あまりにも単純すぎる。
黒と低音が強く結びついて感じられるのは、
その存在の仕方が似ているからかもしれない。
低音は前に出ないように見える。
だが、空間を支配する。
抜ければ全体が崩れる。
(余談だが、日常生活の多くの公共空間では、低音が十分に再生されているとは言いがたい。)
黒は、実のところ強い。
クラブミュージックにおける低音のように、
構造でありながら、実は主役であることが多い。
ここまで書いてきて、黒と低音はかなり似ているのではないかと思い始めている。
音や色そのものではなく、構造的な立ち位置や役割という点で、かなり近い。
黒は色というより姿勢だ。
低音もまた、音色というより構造に近い。
というわけで、今回は音で黒を探ってみた。
構造で切り取るととても実験的、音響的に偏るので
黒を感じる曲を集めてみた。
大沢伸一 (おおさわ しんいち)
MONDO GROSSO、RHYME SO、DONGROSSO、「音楽的多重人格」を自負する音楽家。音楽を中心に活動は多岐にわたる。最新ニュースはオフィシャルインスタグラムにて。
https://www.instagram.com/shinichiosawa/